公益財団法人 柿原科学技術研究財団設立趣意書

柿原彬人は会社を創業して以来、実業の世界で全身全霊を込めて企業と業界の発展に注力して参りましたが、日本の歩んできた途と将来を鑑み ますと国政並びに地方政治による方向付けや事業推進だけではこの国を良くするに足りないと実感しております。個人の力の及ぶ範囲は限られているとは言え、 国民のひとり一人が強い向上心と理想をもって将来を切り開いていくことがなにより求められているのではないでしょうか。この観点から、柿原彬人は私財を拠 出して郷里福岡に公益財団法人柿原科学技術研究財団を設立し、県の政策とも協調しつつ日本の将来を福岡県から奮励することに微力ながら尽力したいと願っておりました。
 近年の科学技術の進展は、目覚しいものがあります。特に、エレクトニクス、バイオテクノロジーなどの進展は、社会経済発展の原 動力となって新しい産業を創り出しております。さらに、科学技術の進展は産業経済の分野はもとより、国民生活の分野でも大きな影響を及ぼしております。
 このように、技術革新は需要を喚起し産業を活性化し、国民所得の向上をもたらしてきましたが、国民経済にとって重要なことは、イノベーションと需要の好循環の流れを確固たるものにして、安定した経済成長を実現することにあります。
そのためには、国による産業政策の実施とともに地域経済を支える産業群を形成していくことが重要と考えられます。全国各地においても、新しい魅力ある地域的な事業が芽生えており、企業や地方自治体、大学などが集まって、地域毎に特色を持つクラスターも生まれています。
 幸いにして、福岡県においても産業経済を支えるシステムLSI、バイオ、ナノテクノロジーを始め、ロボット産業やコンテンツ産 業などの育成とその集積促進を図られており、これらの事業の展開のため、大型研究プロジェクトや研究支援機関の整備等に積極的に取り組まれております。
 また、新技術、新産業の振興を図るため、産学官の連携による研究開発とその実用化を推進されています。
 このように、今後の成長が期待される次世代成長産業分野の育成については国、県挙げての推進のほか大学、民間の積極的な支援が必要と言えます。
 公益財団法人柿原科学技術研究財団は、バイオテクノロジーやIT関連等の先端科学技術の調査研究を行うとともに、産学等における創造的研究を促進し、もって福岡県の産業経済の発展と県民の福祉の向上に寄与しようとするものであります。